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 ●不動産鑑定評価基準・運用上の留意事項(各論)

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第1章
不動産の鑑定評価に関する
基本的考察

第2章
不動産の種別及び類型

第3章
不動産の価格を形成する要因

第4章
不動産の価格に関する諸原則

第5章
鑑定評価の基本的事項

第6章
地域分析及び個別分析

第7章
鑑定評価の方式

第8章
鑑定評価の手順

第9章
鑑定評価報告書

第1章
価格に関する鑑定評価

第2章
賃料に関する鑑定評価

第3章
証券化対象不動産の価格に関する鑑定評価

運用上の留意事項
(総論)

運用上の留意事項
(各論)

運用上の留意事項(各論)

P 「各論第1章 価格に関する鑑定評価」について

1.宅地について

(1)更地について

開発法によって求める価格は、マンション等又は細区分した宅地の販売総額を価格時点に割り戻した額から建物の建築費及び発注者が直接負担すべき通常の付帯費用又は土地の造成費及び発注者が直接負担すべき通常の付帯費用を価格時点に割り戻した額をそれぞれ控除して求めるものとする。この場合において、マンション等の敷地は一般に法令上許容される容積の如何によって土地価格が異なるので、敷地の形状、道路との位置関係等の条件、建築基準法等に適合した建物の概略設計、配棟等に関する開発計画を想定し、これに応じた事業実施計画を策定することが必要である。

開発法の基本式を示すと次のようになる。

P :開発法による試算価格

S :販売総額

B :建物の建築費又は土地の造成費

M :付帯費用

r :投下資本収益率

n1 :価格時点から販売時点までの期間

n2 :価格時点から建築代金の支払い時点までの期間

n3 :価格時点から付帯費用の支払い時点までの期間

(2)借地権について

宅地の賃貸借契約等に関連して、借地人から賃貸人へ支払われる一時金には、一般に、@預り金的性格を有し、通常、保証金と呼ばれているもの、A賃料の前払的性格を有し、又は借地権の設定の対価とみなされ、通常、権利金と呼ばれているもの、Bその他借地権の譲渡等の承諾を得るための一時金に分類することができる。

これらの一時金が借地権価格を構成するか否かはその名称の如何を問わず、一時金の性格、社会的慣行等を考察して個別に判定することが必要である。

(3)区分地上権について

区分地上権の鑑定評価に当たって留意すべき事項は次のとおりである。

@ 区分地上権の特性に基づく経済価値

区分地上権の鑑定評価においては、特に次に掲げる区分地上権の特性に基づく経済価値に留意することが必要である。

ア 区分地上権設定地の経済価値は、当該設定地の最有効使用に係る階層等に基づいて生ずる上下空間の効用の集積である。したがって、区分地上権の経済価値は、その設定地全体の効用との関数関係に着目して、その設定地全体の経済価値に占める割合として把握される。

イ 区分地上権は、他人の土地の地下又は空間の一部に工作物を設置することを目的として設定する権利であり、その工作物の構造、用途、使用目的、権利の設定期間等により、その経済価値が特定される。

A 区分地上権の設定事例等に基づく比準価格

区分地上権の設定事例等に基づく比準価格は、近隣地域及び同一需給圏内の類似地域等において設定形態が類似している区分地上権の設定事例等を収集して、適切な事例を選択し、必要に応じ事情補正及び時点修正を行い、かつ、地域要因及び個別的要因の比較を行って求めた価格を比較考量して決定するものとする。

この手法の適用に当たっては、特に次に掲げる事項に留意しなければならない。

ア 区分地上権設定地に係る区分地上権の経済価値には、当該区分地上権に係る工作物の保全のため必要な他の空間の使用制限に係る経済価値を含むことが多いので、区分地上権の態様、設定期間等設定事例等の内容を的確に把握すべきである。

イ 時点修正において採用する変動率は、事例に係る不動産の存する用途的地域又は当該地域と相似の価格変動過程を経たと認められる類似の地域における土地の変動率を援用することができるものとする。

ウ 地域要因及び個別的要因の比較においては、次に掲げる区分地上権に特有な諸要因について留意する必要がある。

(ア)地域要因については、近隣地域の地域要因にとどまらず、一般に当該区分地上権の効用に寄与する他の不動産(例えば、地下鉄の区分地上権の設定事例の場合における連たんする一団の土地のように、一般に広域にわたって存在することが多い。)の存する類似地域等との均衡を考慮する必要がある。

(イ) 個別的要因については、区分地上権に係る地下又は空間の部分についての立体的及び平面的位置、規模、形状等が特に重要であり、区分地上権設定地全体との関連において平面的及び立体的分割の状態を判断しその影響の程度を考慮する必要がある。

B 区分地上権の設定事例等に基づく区分地上権割合により求める価格

近隣地域及び同一需給圏内の類似地域等において設定形態が類似している区分地上権の設定事例等を収集して、適切な事例を選択し、これらに係る設定時又は譲渡時における区分地上権の価格が区分地上権設定地の更地としての価格に占める割合をそれぞれ求め、これらを総合的に比較考量の上適正な割合を判定し、価格時点における当該区分地上権設定地の更地としての価格にその割合を乗じて求めるものとする。

なお、この手法の適用に当たっては、特に、前記Aのウに掲げる事項に留意する必要がある。

C 土地残余法に準じて求める収益価格

土地残余法に準じて求める収益価格は、区分地上権設定地について、当該区分地上権の設定がないものとして、最有効使用を想定して求めた当該設定地全体に帰属する純収益から、当該区分地上権設定後の状態を所与として最有効使用を想定して求めた当該設定地に帰属する純収益を控除して得た差額純収益を還元利回りで還元して得た額について、さらに当該区分地上権の契約内容等による修正を行って求めるものとする。

D 区分地上権の立体利用率により求める価格

区分地上権の立体利用率により求める価格は、区分地上権設定地の更地としての価格に、最有効使用を想定して求めた当該区分地上権設定地全体の立体利用率を基準として求めた当該区分地上権に係る立体利用率(当該区分地上権設定地の最有効使用を前提とした経済価値に対する区分地上権の設定部分の経済価値及び当該設定部分の効用を保持するため他の空間部分の利用を制限することに相応する経済価値の合計の割合をいう。)を乗じて得た額について、さらに当該区分地上権の契約内容等による修正を行って求めるものとする。

なお、この手法の適用に当たっては、特に、前記Aのウに掲げる事項に留意する必要がある。

(4)対象不動産について土壌汚染が存することが判明している場合又は土壌汚染が存する可能性のある場合の鑑定評価について

土壌汚染が存することが判明した不動産については、原則として汚染の分布状況、除去等に要する費用等を他の専門家が行った調査結果等を活用して把握し鑑定評価を行うものとする。なお、この場合でも、「総論第5章 鑑定評価の基本的事項」及び本留意事項の「L「総論第5章 鑑定評価の基本的事項」について」に規定する条件設定に係る一定の要件を満たす場合には、依頼者の同意を得て汚染の除去等の措置がなされるものとしてという条件を付加して鑑定評価を行うことができる。また、「総論第8章 鑑定評価の手順」及び本留意事項の「O「総論第8章 鑑定評価の手順」について」に規定する客観的な推定ができると認められる場合には、土壌汚染が存することによる価格形成上の影響の程度を推定して鑑定評価を行うことができる。

土壌汚染対策法に規定する調査、区域指定、措置等の各手続きに対応した鑑定評価上の対応を示すと次のようになる。

@ 対象不動産について土壌汚染対策法第3条の規定により土壌の汚染の状況についての調査義務が発生したとき又は対象不動産について同法第4条の規定により土壌の汚染の状況についての調査を命ぜられたときには、当該調査の結果を踏まえ、汚染が存することが判明すればそれを前提に鑑定評価を行うものとする。

A 対象不動産について土壌汚染対策法第5条に規定する指定区域の指定がなされている場合には、汚染が存することを前提に鑑定評価を行うものとする。

B 対象不動産について土壌汚染対策法第7条の規定により都道府県知事から汚染の除去等の措置を講ずべきことを命ぜられた場合において、何らかの措置が行われた後であっても指定区域の指定が解除されない限りは汚染が存することを前提に鑑定評価を行うものとする。

C @の法定調査の結果土壌汚染の存在が判明しなかった場合、Aの指定区域の指定が解除され指定区域台帳から削除された場合及び使用の廃止を伴わない有害物質使用特定施設であって、都道府県知事から当該土地の汚染の状況についての調査や汚染の除去等の措置が命ぜられていない場合には、土壌汚染が存しないとして鑑定評価を行うことができるものとする。

なお、汚染の除去等の措置が行なわれた後でも、心理的嫌悪感等による価格形成への影響を考慮しなければならない場合があることに留意する。

2.建物及びその敷地について

(1)貸家及びその敷地について

貸家及びその敷地の収益価格を求める場合において、一時金の授受後における期間の経過に伴う土地、建物等の価格の変動により、一時金としての経済価値的意義が薄れているときは、その実際実質賃料に代えて実際支払賃料に基づく純収益を求め、当該純収益を還元して収益価格を求めることができる。


(2)区分所有建物及びその敷地について

区分所有建物及びその敷地の確認に当たっては、登記簿謄本、建物図面(さらに詳細な図面が必要な場合は、設計図書等)、管理規約、課税台帳、実測図等に基づき物的確認と権利の態様の確認を行う。

また、確認に当たって留意すべき主な事項は、次のとおりである。

@ 専有部分

ア 建物全体の位置、形状、規模、構造及び用途

イ 専有部分の一棟の建物における位置、形状、規模及び用途

ウ 専有部分に係る建物の附属物の範囲

A 共用部分

ア 共用部分の範囲及び共有持分

イ 一部の区分所有者のみに属する共用部分

B 建物の敷地

ア 敷地の位置、形状及び規模

イ 敷地に関する権利の態様

ウ 対象不動産が存する一棟の建物に係る規約敷地の範囲

エ 敷地の共有持分

C 管理費等

管理費及び修繕積立金の額

Q 「各論第2章 賃料に関する鑑定評価」について

1.宅地について

宅地の新規賃料を求める場合において留意すべき事項は、次のとおりである。

(1)積算賃料を求めるに当たっての基礎価格は、賃貸借等の契約において、貸主側の事情によって使用方法が制約されている場合等で最有効使用の状態を確保できない場合には、最有効使用が制約されている程度に応じた経済価値の減分を考慮して求めるものとする。

また、期待利回りの判定に当たっては、地価水準の変動に対する賃料の遅行性及び地価との相関関係の程度を考慮する必要がある。


(2)比準賃料は、価格時点に近い時点に新規に締結された賃貸借等の事例から比準する必要があり、立地条件その他の賃料の価格形成要因が類似するものでなければならない。


(3)配分法に準ずる方法に基づく比準賃料は、宅地を含む複合不動産の賃貸借等の契約内容が類似している賃貸借等の事例に係る実際実質賃料から宅地以外の部分に対応する実際実質賃料相当額を控除する等により求めた比準賃料をいうものであるが、宅地の正常賃料を求める場合における事例資料の選択に当たっては、賃貸借等の契約内容の類似性及び敷地の最有効使用の程度に留意すべきである。


2.建物及びその敷地について

店舗用ビルの場合には、貸主は躯体及び一部の建物設備を施工するのみで賃貸し(スケルトン貸し)、内装、外装及び建物設備の一部は借主が施工することがあるので、積算賃料を求めるときの基礎価格の判定及び比準賃料を求めるときの事例の選択に当たっては、これに留意すべきである。

R 「各論第3章 証券化対象不動産の価格に関する鑑定評価」 について

1.証券化対象不動産の基本姿勢について

(1)各論第3章第1節Jに定める証券化対象不動産については、従前に鑑定評価が行われたものを再評価する場合にあっても、各論第3章に従って鑑定評価を行わなければならないものであることに留意する必要がある。

2.処理計画の策定について

(1)処理計画の策定に当たっての確認については、対象不動産の鑑定評価を担当する不動産鑑定士以外の者が行う場合もあり得るが、当該不動産鑑定士が鑑定評価の一環として責任を有するものであることに留意しなければならない。

(2)処理計画の策定に当たっての確認において、依頼者から鑑定評価を適切に行うための資料の提出等について依頼者と交渉を行った場合には、その経緯を確認事項として記録しなければならない。また、確認事項の記録を鑑定評価報告書の附属資料として添付することとしているが、鑑定評価書への添付までを求めるものではないが、同記録は不動産の鑑定評価に関する法律施行規則第38条第2項に定める資料として保管されなければならないことに留意する必要がある。

(3)エンジニアリング・レポート及びDCF法等を適用するために必要となる資料等の入手が複数回行われる場合並びに対象不動産の実地調査が複数回行われる場合にあっては、各段階ごとの確認及び記録が必要であることに留意しなければならない。

(4)各論第3章第2節Lに、依頼者の証券化関係者との関係について記載する旨定めているが、不動産鑑定士の対象不動産に関する利害関係又は対象不動産に関し利害関係を有する者との縁故若しくは特別の利害関係の有無及び内容については、総論第9章第2節により記載する必要があることに留意しなければならない。

3.証券化対象不動産の個別的要因の調査について

証券化対象不動産の個別的要因の調査に当たっては、次に掲げる事項に留意する必要がある。

(1)エンジニアリング・レポートの活用に当たっては、不動産鑑定士が主体的に責任を持ってその活用の有無について判断を行うものであることに留意する必要がある。また、エンジニアリング・レポートの内容の適切さや正確さ等の判断に当たっては、必要に応じて、建築士等他の専門家の意見も踏まえつつ検証するよう努めなければならないことに留意する必要がある。既存のエンジニアリング・レポートの活用で対応できる場合がある一方、エンジニアリング・レポートが形式的に項目を満たしていても、鑑定評価にとって不十分で不動産鑑定士の調査が必要となる場合もある。

(2)鑑定評価に必要な対象不動産の物的確認、法的確認等に当たっては、各論第3章第3節L(3)の表に掲げる内容や別表1の項目に掲げる内容が必要最小限度のものを定めたものであり、必要に応じて項目・内容を追加し、確認しなければならないことに留意する必要がある。

(3)できる限り依頼者からエンジニアリング・レポートの全部の提供を受けるとともに、エンジニアリング・レポートの作成者からの説明を直接受ける機会を求めることが必要である。

(4)なお、エンジニアリング・レポートの作成は委託される場合が多いが、この場合には、エンジニアリング・レポートの作成者は調査の受託者を指すことに留意しなければならない。また、この場合においては、エンジニアリング・レポートの作成者を鑑定評価報告書に記載する際、調査の委託者の名称も記載する必要がある。

4.DCF法の適用等について

DCF法の適用等に当たっては、次に掲げる事項に留意する必要がある。

(1)収益費用項目及びその定義を依頼者に説明するに当たって、各項目ごとの具体的な積算内訳など不動産の出納管理に関するデータ等と収益費用項目の対応関係を示すなどの工夫により、依頼者が不動産鑑定士に提供する資料の正確性の向上に十分配慮しなければならない。

(2)収益費用項目においては、信託報酬、特別目的会社・投資法人・ファンド等に係る事務費用、アセットマネジメントフィー(個別の不動産に関する費用は除く)等の証券化関連費用は含まないこと。「純収益」は償却前のものとして求めることとしていることから減価償却費は計上しないことに留意する必要がある。また、各論第3章第4節K(1)の表に定める「運営純収益」と証券化対象不動産に係る一般の開示書類等で見られるいわゆる「NOI(ネット・オペレーティング・インカム)」はその内訳が異なる場合があることに留意する必要がある。

(3)各論第3章第4節K(1)の表の収益費用項目のうち「運営純収益」と「純収益」の差額を構成する「一時金の運用益」と「資本的支出」の算出について、「一時金の運用益」の利回りの考え方を付記するとともに、「資本的支出」と「修繕費」の区分については、税務上の整理等との整合性に十分配慮する必要があることに留意しなければならない。

(4)収益費用項目については、DCF法を適用した場合の検証として適用する直接還元法においても、同様に用いる必要がある。


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